ツーステップバスとは?
ツーステップバスは床面高650mm以上、入口に2段の踏み板がある旧型バス。昭和世代に多く製造され、今も一部地域で走っています 。
運転手から見た「現役のツーステップバス 」の魅力と課題
昭和バス感と乗り心地
- 「懐かしい音」「揺れ」がバス好きなファンにはたまらない
- 高い床の目線は景観が良く、古き良き車内空間を演出
課題:高齢者やベビーカーに厳しい現実
- 段差があるため、足腰弱い方や車椅子・ベビーカーでは乗降困難
- 利用者から「降りにくい」の声も実際にあり
乗務中のエピソード
「運転手さん、降りにくいわ」その一言にハッとする
ある日のこと。
停留所でお年寄りのお客さまが降りる際に、こう声をかけられました。
「運転手さん、降りにくいわ、なんとかならんの?」
その時の車両は、昔ながらのツーステップバス。
床が高く、段差も大きいため、足腰の弱い方にはとてもつらそうです。
私自身、運転しながら「申し訳ないな」と心が痛くなりました。
全国で走る現役ツーステップバスの事例
地域 | 車両形式 | 年式 | 特徴 |
---|---|---|---|
京都(京都バス) | KC‑HU3KMCA | 1997年式 | 前後扉、補助椅子付き |
愛媛(伊予鉄南予バス) | 日野レインボーRJ | 1991年式 | 花柄シート、強固な構造 |
全国多数 | 富士重7E、ブルーリボンなど | 1990~2000年代 | 遠州鉄道・静鉄・中鉄などが運用 |
何故、ツーステップバスは現役で残り続ける?背景と今後の課題
- 更新コストの負担:地方バス事業者には新車導入が難しい 。
- メーカー供給の減少:新型ツーステ車はカタログ落ちで選択の幅が縮小 。
- 写真や地元PR効果:昭和世代の車両は観光資源・地域活性にも
現在では、ノンステップやワンステップといった「バリアフリー」対応のバスも増えていますが、すべてが置き換わっているわけではありません。
地方では今もツーステ車両が現役で活躍中です。
その背景には、バス会社の厳しい経営事情があります。
特に地方路線は赤字が続き、なかなか新車を導入できないのが現実です。
バス好きには嬉しい?でも現場では…
鉄道やバスが好きな方にとって、昭和の香り漂う古いバスは“たまらない魅力”かもしれません。
「懐かしい音」「独特の揺れ」など、ファン心をくすぐるポイントは多々あります。
でも、現場で運転する立場からすると、
- 足腰の悪い方が転びそうになる
- 車椅子やベビーカーが乗りにくい
など、安全や快適さの面では大きな課題を感じるのが正直なところです。
車両更新には税金の支援が必要では?
バスは公共交通の一部であり、高齢者や学生、通勤客にとって欠かせない移動手段です。
それにもかかわらず、車両の更新や設備改善にかかる費用は、バス会社の負担が大きいのが実情。
私は日々運転していて、
「もっとバス車両に税金が使われてもええんちゃうかな?」
と感じることが多々あります。
鉄道と同じように、バスにも公的支援がもう少しあってもいいのではないでしょうか。
バス停や運行系統ももっと分かりやすく
車両の問題だけでなく、バス停の配置や案内のわかりづらさも課題の一つです。
複数のバス会社が似たような場所にバス停を設置していたり、行き先が複雑だったりして、初めての利用者にはとても分かりにくいことも。
「もっとシンプルで、利用者目線のバス停や系統にできたら…」
そんな思いで、日々運転しています。
まとめ:現役ツーステップバスの意義とこれから
昭和の風情を残す貴重な現役ツーステップバス 。しかし課題も多く、今後は公的支援・代替車導入が求められます。運転士目線からの提案として、地域公共交通を守る観点で社会的な支援・リプレースが重要です。
Q&A
Q1. まだどこで見られる?
A: 京都、愛媛、静岡、岡山、福岡など地方都市で現役稼働中
Q2. 改造で車椅子対応はできる?
A: 構造上難しく、全面ノンステップ車への更新が現実的
Q3. 運転士視点で大事なことは?
A: 安全点検強化と乗降アシスト、乗客への声かけが鍵