バス運転手の給与事情を最新データで徹底分析します。全国平均では年収約461万円(月収33.5万円+賞与約64.5万円)と報告されており、このうち手取りは約369万円(80%換算)です。地域差や会社規模、経験年数による違いも大きく、安定した収入を得るためのポイントを解説します。
参照:厚生労働省|賃金構造基本統計調査
年収=「きまって支給する現金給与額(月給)」×12ヶ月+「年間賞与等」
バス運転手の平均年収・手取り【最新データ】
バス運転手の最新平均年収は約461万円、手取りは約368~371万円ほどです。50代前半ではさらに高く、50~54歳で平均約522万円とピークに達します。年代別では、経験年数が増えるほど年収は上がり、40代後半で年収450万~490万円台、50代前半で500万円超となる傾向があります。
- 会社規模:従業員数の多い大手バス会社ほど給与高め。従業員1000人以上の大企業では年収平均約526万円なのに対し、10~99人規模では約395万円と開きがあります。
- 地域差:都市部が高収入。東京都の平均年収は約561万円、神奈川約525万円、全国平均の約461万円を大きく上回ります。逆に秋田県では約278万円と最低水準です。関東や都市部と地方でおよそ300万円もの差があるのは驚きですね。
- 年齢・経験:先述のとおり、ベテランほど給与は高い傾向です。若手は30歳で約418万円から、50歳で500万円超まで上昇します。
バス運転手は給料が安いと言われる理由
「バス運転手の給料は安い」という声はよく聞かれます。その背景にはいくつかの要因があります。まず、拘束時間の長さと基本給の低さです。実際、バスの基本給は低めに抑えられており、各種手当(走行距離手当・残業手当・休日手当など)で稼ぐスタイルになります。業務自体は朝早く深夜に及ぶことも多く、実質勤務時間が長い割にはベースの給料が低いのです。
また、物価や補助金の事情も影響します。地方では人口減少などでバス会社の収益が低下し、給与に反映されています。高速バスや貸切バスなど特殊ルートでは手当が多めですが、一般路線バスは公的補助に依存する部分が大きく、結果的に「給料が安い」と感じられる側面もあります。
さらに、比較対象の存在も大きいです。同じ運転手職でも、大型トラック運転手の平均年収は約477万円と高水準です。タクシー運転手の361万円と比べればバスの方が高いですが、トラックに比べると見劣りするのは事実です。こうした世間の比較が「バスは安い」と言われる理由の一つと考えられます。
年収・手取りと生活費のバランス
家族持ちや地方在住の場合、収入面で不安になるケースもありますが、実際の手取りは総支給から20%前後を差し引いた金額です。例えば年収461万円であれば手取りは約369万円(1ヶ月あたり30万円強)で、家族4人のモデル家庭でも暮らせない水準ではありません。しかし家賃や生活費は地域によって大きく異なるため、都市部は出費も増えます。総支給額が多くても生活費負担が増える場合もあるので、単純な年収比較だけでは判断しにくい点です。
なおボーナスは年間で月収×2ヶ月分程度が目安(例:月給約30万円ならボーナス約60万円)。退職金は会社によってばらつきがありますが、民間12社の平均で約573万円(自己都合退職)との調査結果もあります。公営バス(地方公務員)なら退職金制度がしっかり整っています。
年収を増やす具体的な方法
給与を高めるには、手当やシフトで上乗せするのが近道です。以下は有効な方法です。
- 残業・休日手当を活用する:公休出勤や残業を増やせば月給以上の収入になります。一日13時間拘束でも運転時間外は給料に含まれないことも多いので、積極的に手当目当ての出勤をするドライバーもいます。
- 高速路線や深夜勤務を狙う:長距離観光バスや高速夜行便は手当が豊富です。実例として「高速バスの手当だけで年収500万円超え」という声があります。都市部の観光会社や夜行便は給与レンジ自体も高めに設定される傾向です。
- 経験を積んで昇給・資格手当を得る:無事故手当や勤続年数に応じた昇給制度を活用し、昇給幅を積み上げましょう。一部の会社では大型二種免許以外の資格(運行管理者、危険物等)で手当が付きます。
- 転職して条件を変える:都市部の大手企業への転職は給与アップに直結することがあります。「地方の会社から都市部に移ったら年収120万円上がった」という実体験もあります。免許支援や手当が充実した会社を選ぶと、同じ経験でも高収入を得やすいです。
各バス会社の求人票では「月給+各種手当+賞与」で年収レンジを確認し、残業代や休日出勤の実際の支給額を見比べましょう。大型二種免許取得支援がある会社は、免許取得までの費用負担を考慮すると転職先選びで非常に有利です。
高収入バス会社の見分け方・選び方
高給なバス会社にはいくつかの共通点があります。求人チェックポイントを整理すると次の通りです。
- 給与水準が高いか:求人情報に給与レンジ(月給+手当+賞与)を明記しているか確認。最低ラインだけでなく、5年・10年後の見込みも参考に。
- 手当や福利厚生が充実しているか:深夜・長距離手当、家族手当、無事故手当などがあると基本給以上に稼げます。大型二種免許支援や住宅補助なども収入総額に影響します。
- 勤務形態とシフト:夜行便や高速路線を多く持つ会社は給与総額が高くなる傾向。逆に完全日勤のみでもライフスタイル重視なら選択肢になります。
- 昇給・賞与・退職金の制度:昇給率が明確で年功序列が働く会社、無事故評価制度があるかなど。退職金支給実績や再雇用制度(65歳以上)も長期就労の安心材料です。
- 企業規模・安定性:大手企業や公営バスは経営基盤が安定しており、賞与も手厚い傾向があります。一方、中小企業でも待遇が良い会社は存在するので、給与だけでなく会社の成長性や地域密着度も比較して判断しましょう。
安定収入・ボーナス・退職金制度
バス運転手は雇用の安定性が高い職種です。多くの会社で定年60歳後も再雇用制度があり(最大70歳まで勤務可能な例もあります)、高齢になっても働き続けやすい環境です。雇用保険・社会保険加入、業績による賞与支給(平均2か月分)があるため、ある程度予測しやすい収入が見込めます。公営バス(地方公務員扱い)の場合は国家公務員並みの退職金制度が備わっており、私鉄系でも一般企業並みの退職金が用意されていることが多いです。
働き続ける中でボーナスは月収の約2ヶ月分が目安。月給30万円なら年間約60万円程度です。退職金は会社により差がありますが、民間平均で約570万円といわれています。定年後は嘱託や契約社員として週休3日など柔軟勤務で働く方も多く、無理なく第二の仕事を持てるのも魅力です。
Q&A
Q1: バス運転手の手取りはどのくらいですか?
A: 平均年収461万円の場合、税・社会保険料を引くと手取りは約370万円程度です。30歳独身で年収461万なら月々約30万の収入になります。扶養家族が増えると社会保険料が高くなるため手取りは減りますが、家族手当がもらえる会社もあります。
Q2: 40代・未経験でも採用されますか?
A: はい、可能です。近年は「定年前提」採用や中高年歓迎の求人が増えています。私自身も営業職から40代で転職し、現在7年目のバス運転士です。大型二種免許は会社支援で取得できるケースが多く、書類選考から研修期間まで40代に適した制度を整えている会社もたくさんあります。
Q3: どんなバス会社を選べば給料が高いですか?
A: 都市部の大手・高速・観光バス会社は手当が多く給与が高めです。求人で「免許取得全額支援」「無事故手当あり」「賞与実績年3ヶ月超」などの条件がある会社は、高収入につながりやすいです。逆に地方の中小企業でも工夫して待遇を上げているところがあります。複数企業の求人を比較し、給与レンジだけでなく働き方や福利厚生もチェックしましょう。
Q4: バス運転手は給料が安いって本当ですか?
A: 長時間労働や体力負担の割に基本給が低く設定されがちな点から「安い」と感じる人は多いです。しかし、手当で稼げる仕組みや昇給・ボーナスで上乗せすれば、決して業界最低水準というわけではありません。休日出勤をすれば入社数年で年収500万超も可能な職種です。
Q5: バス運転手の給料は将来性がありますか?
A: 高齢化で人手不足が深刻化しているため、給与水準は今後も上がる見込みです。最近では昇給・待遇改善の動きも活発化しており、例えば福井県では「免許取得支援」「給与改善」「奨励金」などで待遇向上が進んでいます。安定した雇用と需要増加の中で、経験を積んで長く働ける将来性が期待できます。