「バス運転手って、なんか態度悪くない?」
そんな声をSNSや口コミでよく目にします。
しかし、実際にバスを運転している立場から言わせてもらうと、「そう見えるだけ」のケースがとても多いんです。
この記事では、元営業マンで現役バス運転士の筆者が、「態度が悪く見える理由」とその背景、さらに乗客とのトラブルを減らすコツまで解説します。
「バス運転手の態度が悪い」と言われる理由
バス運転手が「無愛想」「冷たい」「怖い」などの印象を持たれる理由は、主に以下の通りです。
- 無言で運転している
- 挨拶がない
- 表情が硬い
- 無線やアナウンスがぶっきらぼう
- 乗客に注意する場面がある
たしかに、お店の店員さんのような笑顔や丁寧な接客を期待していると、ギャップを感じることもあるでしょう。
実は誤解?態度が悪く見える背景
態度が悪く見える背景には、実はこんな事情があります。
安全第一で集中している
バスは数十人を乗せて公道を走る重責があります。乗車・降車の安全確認、交差点、歩行者、自転車、無理な車線変更車……運転手は常に神経を張り巡らせています。
この真剣な表情が、結果的に「冷たい」「不機嫌」と誤解されがちなのです。
「嫌な態度をとっている」のではなく、「プロとして安全を最優先している証」でもあります。
時間に追われている
バスはダイヤ通りに運行する義務があります。交通渋滞や信号、ICカードのトラブル対応など、遅れそうな状況では余裕がなくなりがちです。
遅延の要因
- 降車時の両替やICカードへのチャージ
- 走行中に席の移動。車内事故防止のため、減速する。
- 駆け込み乗車。
- バス停の違法駐停車。
- 高齢者対応
- 車椅子対応やベビーカー対応

私も入社前、何でバス運転手はみんな不愛想なんだろうって思っていました。今ではその気持ちが分かります。
元営業マンから見た接客業としての違い
私は以前、営業マンとして個人顧客を相手に仕事をしていました。
その経験から見ると、バス運転手の接客は「顔の見えない不特定多数へのサービス」という特殊な側面があります。営業職では一人ひとりに合わせた対応ができますが、バスでは公平性が大事。
そのため、どうしても事務的な対応にならざるを得ないこともあります。
よくあるクレームと対応策
実際に多いクレームは以下のようなものです。
クレーム内容 | 背景・運転士側の事情 |
---|---|
挨拶がなかった | 忙しくて聞こえない・気づかないケース |
急ブレーキが怖かった | 前方の危険回避のため不可避だった |
無愛想だった | 安全確認中で話しかけにくい状態だった |
▶ 対応策
- 挨拶を意識する(聞こえやすい声で)
- 表情に気を配る(口角を上げるだけでも印象は変わる)
- 乗客対応時はワンクッション置いて丁寧に話す
クレームを減らすために現場で取り組んでいること
多くのバス会社では、以下のような改善に取り組んでいます。
- 定期的な接遇研修
- ドライブレコーダー映像を使った振り返り
- 苦情窓口での迅速なフィードバック共有
- 指導担当者による定期巡回
バス運転手も「プロの接客業」として意識改革が進んでいます。
バス運転士の本音:本当はお客様を大事にしたい
多くのバス運転士は、「気持ちよく乗ってもらいたい」と思っています。
ただ、それを表現する余裕がなかったり、疲労やストレスがたまっている時にうまくできないこともあるのが現実です。
苦情をもらった運転手も、実は落ち込んで反省していることが多いです。
私は「笑顔で挨拶」を心がけている
現実を知った今でも、私はできるだけ「笑顔で挨拶」をするように心がけています。もちろん、運行時間に相当な遅れがあり、余裕がない時や、疲れがたまった日には、笑顔を見せられなかったり、ひきつっていることもあります。
それでも、やはりお客様に対しての感謝は忘れたくないからです。
例えば、
- バス停到着時には軽く会釈をする
- バス停で迷っている方には声をかける
- 降車時には一人ひとりに「ありがとうございました」と声をかける
たったこれだけのことでも、お客様から「ありがとう」と返してもらえると、仕事への励みになります。そんな小さな交流が、疲れた心を救ってくれることも多いのです。
バス運転手の態度が悪いと感じたら、少しだけ想像してみてください
もし、あなたがバスに乗ったときに「なんかこの運転士、感じ悪いな」と感じたら、少しだけ立ち止まって想像してみてください。
- 朝から何百人もお客様を運んでいる
- 交通状況も悪く、神経をすり減らしている
- トラブル対応に追われいたかもしれない
そして、もし気が向いたら、降りるときに小さな「ありがとうございました」を運転士に伝えてみてください。
ほんの一言でも、バス運転士にとってはものすごく大きな励みになります。

私は「いつもありがとう」って降りていくお客様を覚えていて、その方が乗ってこられると、嬉しくなります。
まとめ:運転手の態度が悪いと感じたら、一歩引いて見ると、見え方が変わるかも
- バス運転手の態度が悪く見えるのは「誤解」のことも多い
- 背景には、安全確保と時間管理という大きな責任がある
- 不快な思いをしたら、クレーム窓口に冷静に伝えることが改善への第一歩
よくある質問(Q&A)
Q. 無愛想な運転士にあたったら、どうしたらいい?
A.「●月●日●時●分、●系統のバス」など具体的にメモして、運行会社に伝えると対応されやすいです。
Q. 全員が態度悪いの?
A. そんなことはありません。感じの良い運転士もたくさんいます。ただ、忙しさやタイミングで印象が悪くなってしまうこともあります。
Q. 苦情を言うと改善されるの?
A. バス会社はクレームを分析し、研修や指導に活かしています。冷静な指摘は改善に繋がる大切な声です。