こんにちは、現役の路線バス運転士だいきです。
今回は、ある乗務日の心温まるエピソードをご紹介します。
日々、ハンドルを握っていると、普段はなかなかお客さまと会話をする機会はありません。ですが、時にはちょっとした一言が、驚くほど心に響くことがあります。
久しぶりのバスに感動してくれたお客さま
その日、60代くらいのご年配の夫婦がご乗車されました。
特に目立った様子もなく、静かに車内の景色を楽しんでいるように見えました。
ところが、降車時にこちらを向いて笑顔でこう言ってくださったのです。
「数十年ぶりにバスに乗って街に出かけたけど、のんびり景色を眺められて、乗り心地も良かったよ。時間に余裕がある時はバスも良いね。また乗るよ!」
この「また乗るよ」の一言に、思わず胸が熱くなりました。
会話がなくても伝わる想い
バス運転士という仕事は、基本的に「接客」よりも「安全運転」が最優先です。
生協で配達していた頃は、お客さまと世間話をするのも日常でしたが、今はそういったやり取りはほとんどありません。
でも、こうした一言があるだけで、まるで何時間も会話したような気持ちになるんです。
「誰かの役に立てた」「誰かに喜んでもらえた」と実感できる瞬間は、やはり何よりの励みになります。
バス移動の価値は“効率”だけじゃない
確かに、自家用車での移動に比べて、バスは時間がかかることもあります。
でも、景色をゆっくり眺めながら、のんびり移動できるのはバスならではの魅力です。
運転に集中する必要がないからこそ、風景の変化や街の様子に気づくこともできます。
バス移動は「ただの移動手段」ではなく、ちょっとした旅気分を味わえる時間だと思うんです。
「人の運転」で感じる幸せ
私自身も、家では妻が助手席で、私が運転することがほとんど。
だからこそ、たまに人の運転で移動できるときは、そのありがたみを強く感じます。
バスに乗ってぼーっと外を眺めるだけでも、リラックスできる。
そんな“移動の楽しさ”を、もっと多くの方に知ってもらえたら嬉しいです。
最後に:小さなひと言が、大きな力に
「また乗るよ」という一言が、思っていた以上に心に響いた一日でした。
運転士は、お客さまから見れば“無言の存在”かもしれません。
でも、その後ろ姿や小さな声のひとことが、私たちの明日の力になります。
今日も安全第一で、一人でも多くの方に「乗ってよかった」と思ってもらえるよう、ハンドルを握り続けます。