路線バスは「電車ほど正確じゃない」ですが、私たちバス運転士も“定時運行”を目指して日々工夫しています。
今回は、現場で実際に行っているダイヤ通りに走るための工夫や努力を、少しだけご紹介します。
バスも「定時運行」を目指してます!
お客様を長時間待たせることはできません。バスも立派な公共交通機関。**「時間どおりに運行すること」**は、私たちにとっても大切な責任のひとつです。
しかし、現実はそう甘くありません。
遅れは許されるけど「早発」はNG
バスの運行ルールの基本、それは**「早発禁止」**です。
早くバス停に着いても、時刻表の時間まではその場で停車して待機しなければいけません。これが「時間調整」と呼ばれる行為です。
時間調整のため、バスがずっとバス停に停車していては、渋滞の原因になりますので、あえて“遅れるくらい”に時刻表の時間は調整されています。
バス運転士不足による減便
どこのバス会社も運転士不足でギリギリまで減便しています。
そのため、朝夕ラッシュ以外も多くの乗客が利用されるようになりました。
お客さんが多ければ、乗降にかかる時間も伸びていきます。
高齢者の増加で乗降時間も長くなる
お客様の中で、高齢の方が増えているのは全国的な傾向です。
- ゆっくり乗り降りされる方
- 手押し車をお持ちの方
- 会話を交えながら乗られる方
当然、乗降にかかる時間も伸びていきます。
降車時のチャージ・両替も時間を取ります
「降りるときにチャージや両替をするお客様」も多く見られます。
チャージ機や両替機は便利ですが、片道で降車時に1~2人が利用されるだけで、数分の遅れになります。
車椅子・ベビーカー・外国人対応も増加
- 車椅子のお客様にはスロープを出して乗降をサポート
- ベビーカーを畳まず乗車される場合も対応が必要
- 外国人観光客の案内では、簡単な英語での案内やジェスチャーで対応も行います
いずれも時間はかかりますが、安全と安心が最優先です。
事故・渋滞・悪天候…遅れ要因は無数にある
道路の状況もバス運行には大きく影響します。
- 工事や事故による突発的な渋滞
- 雨や雪など悪天候による交通の乱れ
- 周辺イベントでの想定外の混雑
これらは完全に予測できるものではないため、運転士の判断力と経験がモノを言う世界です。
それでも定時運行に近づけるための工夫
そんな厳しい状況でも、私たち運転士が定時運行に近づけるために工夫をしています。
1. 信号のサイクルを覚える
交差点ごとに信号のパターンや周期を把握しています。
「この青信号を抜ければ、次の信号も連続で抜けられる」など、流れを読むことでスムーズな進行が可能に。
2. マイク案内で先回りアナウンス
「降車時の両替・チャージはお早めに」といったマイク案内を活用し、あらかじめ乗客に声かけしておくことで、降車時の混雑を緩和。
3. メリハリのある運転
どのバス停で多く乗るか、降りるか。日々のデータを体感で覚えておくことで、予測した動きが可能になります。乗降のないバス停では「通過します」と案内し、メリハリ運転を心がけています。
まとめ:バスは遅れるものですが「定時運行」を目指してます!
「バスは遅れるもの」ですが、私たち運転士は、一分一秒でも正確に走ろうと日々工夫しています。
道路状況やお客様の状況によって、どうしても遅れてしまうことが多いですが、そんな中でも最善を尽くして走っています。
次にバスをご利用の際は、「運転士も頑張ってるんやな」と、ちょっとだけでも思っていただけたら嬉しいです。