「このお菓子、トランス脂肪酸は入ってないの?」「この野菜、農薬はどれくらい使ってるの?」——
生協の仕事を始めたばかりの頃、組合員さんから投げかけられるこうした質問に、答えられずに立ちすくんでいた自分がいます。
今回は「新人時代、商品の質問にうまく答えられなかった経験」について、元・生協職員としての実体験をもとに書いてみます。
生協の商品は「安全・安心」が基本
生協が取り扱う商品には、明確なコンセプトがあります。
- 合成添加物はできるだけ使わない
- 野菜は減農薬、化学肥料も控えめ
- トレーサビリティ(生産履歴)を重視
- 生産者と組合員の信頼関係を大切に
こうした方針のもと、生協の商品は「誰がどう作ったか」が見える仕組みになっており、スーパーにはない安心感があります。
そして、利用している組合員さんもその「想い」を理解し、こだわっている方が多いのです。
組合員さんの質問に、タジタジだった新人時代
そんな背景があるからこそ、組合員さんからの質問も、めちゃくちゃ具体的で専門的。
- 「この加工品、トランス脂肪酸は入ってる?」
- 「この洗剤、蛍光増白剤は使ってないよね?」
- 「この野菜、何県の農家さんが作ってるの?」
- 「この牛乳、牛の飼料は遺伝子組み換えじゃない?」
当時の私は、正直「ちんぷんかんぷん」でした。
知識ゼロの状態で現場に出て、あたふたするばかり。パンフレットを見返したり、職場の先輩に聞いたりして、その場をなんとかしのぐ毎日でした。
少しずつ「商品知識」が身についてきた
分からないことを聞かれるたびに、自分で調べてメモを取り、覚えるようにしていきました。
- 土壌改良剤とは何か?
- トランス脂肪酸が体に及ぼす影響
- 合成着色料や保存料のリスク
- 環境ホルモンとプラスチック包装の関係
- 家畜の飼料と畜産物の品質との関係
そのうち、少しずつ知識が蓄積され、同じような質問にも自信を持って答えられるようになってきました。
「これは○○産の人参で、農薬は通常の半分以下。化学肥料もほとんど使っていません。」
「このハムは無塩せきタイプで、発色剤を使っていません。だからちょっと色が地味なんです。」
そんなふうに説明できたとき、組合員さんの信頼の目が変わる瞬間がありました。
育ててくれたのは、組合員さんだった
今にして思うと、私を育ててくれたのは、まぎれもなく組合員さんです。
「ちゃんと知ってないと売れないよ」「それ、前も聞いたんだけど覚えてる?」
そんな言葉に、時にプレッシャーを感じながらも、ありがたさを感じていました。
「この商品、あなたが勧めてくれるなら買ってみるわ」
そう言ってくれる組合員さんが増えていったのは、知識を積み重ねた結果でもありました。
新人時代の経験が、今の自分を支えている
バス運転士に転職した今でも、生協時代の経験は活きています。
- わからないことは放置しない、調べるクセ
- 相手の立場に立った説明を心がける習慣
- 信頼を得るには、誠実さが何より大事だという教訓
あのとき苦労して覚えたこと、叱られながら学んだことが、今でも自分の中にしっかり根を下ろしています。
まとめ:新人の戸惑いも、成長の一部
「新人の頃、商品のことを聞かれてもよくわからず、困った」
でも、だからこそ成長できた——今ではそう思えるようになりました。
知識のなさを恥ずかしがるより、「知ろうとする姿勢」がいちばん大切。
教えてくれた組合員さんに、心から感謝です。
Q&A:よくある質問
Q. 生協の商品はすべて無添加なんですか?
A. すべてではありませんが、可能な限り合成添加物を減らした商品づくりを目指しています。詳細は商品ごとに確認を。
Q. 生協の研修では商品知識も学べますか?
A. はい、基本的な研修や勉強会はありますが、現場での経験や組合員さんからの質問で鍛えられる面が大きいです。
Q. 商品の詳しいことは、どこで調べたらいい?
A. 生協の公式カタログ、商品仕様書、仕入先のWebサイトなどが参考になります。先輩職員からの情報も貴重です。