こんにちは!路線バス運転士のだいきです。
今回は、乗務中にありがたいと思った出来事について綴ります。テーマは「マナーの悪いお客さんに注意してくれる乗客の存在」です。
トラブルを避けたい運転士の立場
私たちバス運転士は、安全運行を第一に考えて乗務しています。ですが、お客さま同士のトラブルやマナー違反への対応も、避けて通れないのが現実です。
たとえば――
- 車内で大声で通話を続ける
- ICカードのチャージ不足に気づかずに乗車し、降車時に慌てる
- 後方から順番を無視して無理に降りようとする
こうした場面では、私たち運転士が「携帯電話の使用はご遠慮ください」「チャージは事前にお願いします」などと案内します。
しかし、残念ながら中には「うるさいな」「お前に言われる筋合いない」と言い返されることもあります。
救世主のような乗客のひと言
そんなある日の出来事。
後方の座席で大きな声で電話していたお客さまに、前に座っていた男性がこう言いました。
「他にも乗ってる人おるんやし、静かにしてくれへん?」
その瞬間、車内の空気がスッと落ち着いたのを感じました。私は何も言わずに運転を続けていましたが、心の中ではこう叫んでいました。
「あなた様は救世主ですか!!」
バス運転士は、公の立場として冷静かつ丁寧に伝える必要があります。だからこそ、他の乗客がマナー違反に対して適切に声をかけてくれると、本当に助かります。
「チャージは事前に」のありがたいひと言
別の日には、降車時にチャージ不足で戸惑っていた若者に、後ろに並んでいたおじさんがこう一言。
「兄ちゃん、チャージは乗る前にしとかんとアカンで~」
トゲのない、やさしい注意。若者も「すみません」と笑顔で返し、スムーズに処理が進みました。
こういう"地元のおっちゃん"的な存在が、実はバス車内の平和を支えてくれているのかもしれません。
最近は注意する人が減った
とはいえ、こうした注意をしてくれるお客さまも、最近は少なくなってきました。
背景には、トラブルを避けたいという気持ちがあるのだと思います。
注意したことで逆ギレされたり、思わぬ揉め事に発展したりすることもありますからね。
実際、私たち運転士もそのリスクを理解しているからこそ、できるだけ注意喚起もやんわりと、淡々と行うようにしています。
バスはみんなの空間。支え合いが大切
路線バスは、年齢も背景もバラバラな人たちが一緒に過ごす“移動の空間”です。
そんな空間だからこそ、ほんの一言が車内の雰囲気を変え、みんなが気持ちよく過ごせる環境になります。
もちろん、私たち運転士も丁寧な案内や対応を心がけていますが、お客さま同士の思いやりあるひと言が、ときに大きな力になることを、改めて感じた出来事でした。
まとめ
- マナー違反に直接注意するのは、運転士にとってもリスクがある
- 他の乗客のさりげない注意が、車内の雰囲気を救ってくれる
- 最近は注意する人が減ってきたが、思いやりの連鎖は続けたい
- バスは公共の場。みんなで支え合って快適な空間をつくっていこう