バスが遅れるたびに「なんでやねん!」と思ってしまうこと、ありませんか? でも、現役のバス運転手から見れば、その“遅れ”には想像以上のドラマがあります。 本記事では、バスが遅延する本当の理由と、運転士の現場対応、乗客としてできることまでをリアルに解説します。
なぜバスは毎回遅れるのか?その背後にある複雑な事情
渋滞・信号・交通事故など避けられない要因
都市部や通勤時間帯では、予測不能な交通渋滞が頻発します。
特に以下のような要因が絡むと、ダイヤどおりの運行は至難の業です。
- 繁華街や学校前での乗降増加
- 信号の連続赤信号
- 他車の路上駐停車
- 道路工事や事故による通行規制
- 高齢者や障がい者の乗降対応(車椅子対応で5分~10分は遅延)
- 降車時のチャージや両替等、運賃支払いでのやりとり(降車時に1回チャージで一つの信号分の遅延)
都市部では10分や20分の遅れは日常茶飯事。どれだけ注意していても、どうにもできない場面が多いのが現実です。
運転手として遅延に直面したときのリアルな対応
バスが予定より遅れだしたとき、運転士がまず考えるのは「安全」と「情報共有」です。
【対応①】管理者への連絡無線やスマホ(専用端末)を使って、営業所や管制に「○○停留所付近で○分遅れ」と報告します。
【対応②】乗客へのアナウンス。必要に応じてマイクで「只今○○方面、交通渋滞により遅れております。ご迷惑をおかけしております」とアナウンス。
【対応③】焦らず安全運転ここが最も大切なポイント。焦って挽回しようとスピードを出すのは厳禁。一歩間違えれば事故につながるからです。
乗客からのクレーム…どう受け止める?
「おそいやんけ!」「なんでこんなに遅れてるんや!」こんな言葉をぶつけられたことがある運転士は多いはず。私も新人時代は、そのたびに落ち込んでいました。
【心構え】
個人攻撃ではないと割り切る。怒りの矛先が自分であっても、それはバスという存在への不満気にしすぎず、冷静に対応するのがプロです。
【対応フレーズ例】
「大変お待たせしております」「現在渋滞の影響で遅れております」と短く、事実だけを落ち着いて伝える。それだけで空気が少し和らぐこともあります。
クレームも受け止めながら、安全運転を最優先
乗客からの「遅い」「急いでるんやけど」といった言葉に心を痛めながらも、運転士は焦らず、安全第一でハンドルを握ります。
【体験談】自分を責めて落ち込んだ日
定時運行できなかった自分を責めて、帰宅後に何も手につかなかったこともありました。
【今の考え方】100%思い通りにはいかない
今は「できる範囲でベストを尽くした」と切り替えるようにしています。遅延を減らす努力は大事ですが、すべてを背負い込む必要はありません。
これからバス運転士を目指す人へ
バス運転士は、感謝されることもあれば、理不尽なクレームを受けることもある仕事です。
【大事なのはメンタルの強さより柔軟さ】
一喜一憂しない心、冷静に運転に集中する姿勢、それが安全に直結します。
【支えになるのは乗客の一言】
「いつもありがとう」「安全運転ありがとう」「ご苦労さま」そんな言葉に救われた日もあります。
乗客ができる“心の備え”とは?
バスロケーションシステムの活用
最近では、バス会社の公式サイトやアプリで「バスの現在地」が確認できます。
代表的な例:
- Googleマップの公共交通連携
- 地元バス会社のリアルタイム運行案内ページ
5分〜10分の“心の余裕”が快適さを生む
「時間ぴったり」で行動するよりも、少し余裕を持つことで、
遅延へのイライラや不安も軽減されます。
ICカードへのチャージや両替は乗車前に
主なチャージ場所:
- 駅の自動券売機
- 一部のコンビニエンスストア(セブン銀行ATMやローソン銀行ATMなど)
まとめ:バスは毎回遅れるもの、お互いを思いやることで、移動はもっと快適に
- 乗客のちょっとした工夫で、移動時間はもっと快適に
- 遅延の背景には、想像以上の要因と規制がある
- 運転士は無線と経験で、ギリギリまで対応している
よくある質問(Q&A)
Q. 遅延したらお給料に響きますか?
A. 答えはNO。遅延自体では減給などは基本的にありません。
Q. 乗客対応が苦手でも大丈夫?
A. もちろん大丈夫です。私も元営業ですが、最初は乗客対応に苦手意識がありました。慣れていく中で、自分なりの対応スタイルが見つかります。
Q. 乗客ができる協力ってある?
A. 小さな心がけで大きく変わります。スムーズな乗降、交通ICの準備、ロケーション確認など、日々の行動が遅延緩和につながります。

運転士も「遅れて申し訳ない」と思いながら運転しています。
どうか、怒りではなく理解を届けていただければ嬉しいです。